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王女様の不埒な暴走
第3章 恋、煩わせる
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「リンゼイ様、どちらへ?」
休日、王城の廊下を歩いているところにジョシュアと出くわした。
「ジョシュアさん! 講義でわからないことがあって。こちらにも大きな図書室があると聞いて、参考になる本を探そうと思いましたの」
「そうでしたか。ではお手伝いいたします」
「本当ですか? ありがとうございます」
一歩後ろを歩く彼に会うためにこの国に来たわけだが、学校で満足のいく評価をもらえなければカンターヌの面目を潰してしまう。勉学も怠るわけにいかない。
カンターヌに居た頃は、教師を城に招いて付きっきりで勉強を教えてもらっていた。けれどここではリンゼイも多くいる学生のひとりとなって、理解出来ないところは教師に訊くか自分で調べるかのどちらかで。
勝手が違うなりに、リンゼイも他の学生に混じり必死で勉学に励んでいた。
「ラインハルトの図書室もなかなかのものですよ。リンゼイ様は読書がお好きだと伺いました。資料のほかに気に入るものがございましたら、何冊かお部屋にお運びいたします」
「わぁ! 嬉しいです! 実は国から持ってきた本は暗記するくらい読んでいて。あ、もちろんいい本は何度読み返しても感動するんですが、珍しい本や心が躍るような物語の本を見つけたいと思っていたんです」
「左様でしたか。でしたらいくつかご案内できるかと」
ジョシュアの目許がわずかに綻ぶ。
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