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王女様の不埒な暴走
第1章 物語のような恋の始まり




 階段を昇ってきたその彼はスチュワートと同い年であり、リンゼイの二つ年上の隣国ラインハルトの王太子。名をレオナルド・アッシュブランという。


 まだ王太子になったばかりだというレオナルドは数日前からカンターヌに滞在しており、長旅の疲れを感じさせず、カンターヌにある豊かな鉱山の視察や、高い技術力を誇る鉱石の加工を自国に取り入れるべく、父と精力的に交渉を重ねている。


 たった二つしか変わらないのに王太子としての自覚からか、いつまでも子供っぽいリンゼイからすると、とても大人びて見える。


「レ……レオナルド殿下……」


 レオナルドは威圧的な雰囲気はないものの、彼が纏う自信と高貴さからか、あのスチュワートでさえも恐縮したようにこうべを垂れた。


「リンゼイ王女が走っているのが遠目に見えまして。あのままでは落ちかねないとこのジョシュアに助けに行かせたのですが……失礼でもありましたか?」


「い、いえ……」


 再び問われ、スチュワートは口籠る。


 普段は傍若無人に振る舞うスチュワートでも、大国の王太子には形無しのようだ。


 リンゼイはいつもこのくらい大人しかったらいいのにと、内心思いつつ、預けっぱなしになっていた身体をそっとジョシュアから離した。







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