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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走
「はぁ……」
自然とリンゼイの口から深い嘆息が漏れる。
同じ年だというのに、女性らしく魅力的なアリエッタとどうしてこうも差があるのだろう。姉だって艶のある顔立ちや、蠱惑的な肉体を持っているのに。大人になればみんなああなると思っていただけに、落胆は隠せない。
ジョシュアも普段からアリエッタのような美しい女性が傍にいるのだから、リンゼイを大人の女性として見てくれないだろう。
だからせめて愛の告白は大人の女性らしくしたかったのに……。
またも嘆息が麗しい唇から漏れ出た。
「本日の夜会はシュトワール侯爵邸で催されます。侯爵夫人は国でも有名な宝石収集家なんです。ですのでリンゼイ様を招かれるのを楽しみにしていたと聞いてますよ」
週末は国中のどこかで夜会が開かれるのは、カンターヌもラインハルトも同じだ。
他国の王女が来国しているとあらば、こぞって自分の邸に招きたがり、他の家に負けじと豪華にしようと必死だ。歓迎されるのは有り難いことではあるが。
「ええ、私もシュトワール侯爵夫人のお名前は存じてるわ」
夜会が開かれるたびに丁寧な説明をしてくれるライラ。必ず同行してくれるレオナルドのサポートもあり、見知らぬ人ばかりの夜会でも退屈せずにいられる。
「でも今夜の夜会で最も注意すべき点は、他にあるんです」
ライラは真面目くさった顔で人差し指を立て、顔を近づけてきた。
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