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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走



「でもだからって諦めるのはまだ早いですよ! あくまでも又聞きですし、キャンディス様の一方的な想いという可能性だってあります。事情があって、強く断れないだけというのが、私の考えです」


「そう……ね。でももしかしたらその噂、あながち間違いじゃないのかもしれないわ。ジョシュアさんが私の気持ちを受け入れてくれなかったのは……」


「え? いいいい……今なんておっしゃいました!?」


「あ……」


 ジョシュアに恋人がいるかもしれないと聞かされ、気落ちするリンゼイはうっかり口を滑らす。


 聞き逃してくれたり、問い詰めないで欲しいという要望はライラには無駄らしい。ごにょごにょと誤魔化してはみたが、一度食いついたら離さない危険な動物のように、ライラはリンゼイが口を割るまで離さなかった。


「実は勢いで言ってしまって……」


 観念したリンゼイは事細かにライラに打ち明ける羽目になる。


 すると彼女は大口を開け、豪快に笑った。


「あはははは! リンゼイ様、ナイスです! そのくらい強引じゃないと、あの大岩は動かせませんから!」


 難攻不落の城だの、堅物だの大岩だの。すごい言われように、気落ちしていたのを少しだけ忘れて苦笑する。


「ともかく! リンゼイ様は数多のライバルを蹴散らして、恋を成就させるんですよ。それにはまずキャンディス様の動向に注意を払ってくださいね!」


 ライラの激励にリンゼイは大きく頷く。ジョシュアとキャンディスが恋人でないなら、自分を好きになってもらえるように頑張れるから。







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