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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走
馬車を走らせ夜会の会場であるシュトワール侯爵邸に到着し、レオナルドにエスコートされ邸に入ると、今夜の主催者である侯爵とその夫人が出迎える。
「まぁまぁ! ようこそいらっしゃいました」
宝石の収集家で有名な夫人は、首に大粒のアレキサンドライトをあしらったネックレスを飾り、その特性から首元が光の反射で多彩な色を放っている。
指にもエメラルドの指輪が光り、宝石に馴染み深いリンゼイは、一発でその素晴らしさと彼女の愛好家ぶりがわかる。
「お初にお目にかかります。今日はお招きいただき、ありがとうございます。夫人のつけていらっしゃるアクセサリー、とても素晴らしいです」
「おわかりになりまして? これらはカンターヌの職人が造った物なんでしてよ」
好きな物を褒められ、夫人は上機嫌だ。今度はお茶会に来て欲しいとの誘いも受ける。
「こらこら、リンゼイ王女さまは滞在期間も短く、お忙しいんだ。それより娘をご紹介したいのですが、よろしいですか」
宝石の話をしたくてうずうずしている夫人を制止し、侯爵が振り返ってひとりの女性を呼び寄せた。
優雅な足取りで可憐な女性がこちらへと歩んでくる。
あの人が──キャンディス。リンゼイの心が波立つ。
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