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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走
金に近い淡い茶色の長い髪を巻き髪にし、やや吊り気味の眼はタンザナイトのような上品な緑色。ひとつ年下だというキャンディスは、リンゼイより年上だと言ってもおかしくないほど美しい人だった。
ジョシュアと並んだところを想像すると、誰がどう考えてもリンゼイよりお似合いだ。
「リンゼイ王女さま。お初にお目にかかります、キャンディスと申します」
透き通る声は、まるで透明度の高いダイアモンドのように上品だ。リンゼイは不穏な鼓動を奏でる心臓の音を耳の奥で聴きながら、どうにか挨拶をした。
「殿下。お久しぶりでございます」
「ああ。キャンディスも元気そうで何よりだ」
レオナルドとキャンディスは顔見知りのようだ。レオナルドのように身分の高い男が出席する夜会は、招待される貴族も限られてくる。侯爵の娘ならば、顔見知りでもおかしくはないだろう。
だがラインハルトに来てからというもの、レオナルドと共に幾たびも夜会に出席してきたが、彼を取り巻くようにやって来る大勢の女性と比べ、どことなく親しげな気がする。
レオナルドとキャンディスが恋人同士というのは、アリエッタの存在を知るリンゼイは、断言してもいいが絶対にない。
だとしたら……考えたくはないが、ジョシュアとキャンディスの関係が噂よりももっと深いもので、レオナルドも側近の恋人だからと親しくしているのでは……と胡乱の眼を向けてしまう。
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