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王女様の不埒な暴走
第4章 執事の噂と王女様の暴走
「最後だなんて言わないで。私だけ結婚して、あなたのことを忘れろとおっしゃるの? そんなの無理です。だって……」
「おっしゃりたいことはわかります。ですが私はこのままで幸せです。キャンディス様がお幸せになられたら尚のこと。聞き分けてください」
ジョシュアも少し寂しげな顔で、胸に縋るキャンディスを優しく抱き締める。
心臓を直に握りしめられたかのように、キュッと痛みが走る。
「聞き分けられません。お願い、これが最後だなんて嫌なんです」
涙に濡れる瞳でジョシュアを見上げるキャンディス。
これ以上、見てはいられなかった。
ふたりは深く深く想い合い、愛し合っている。充分すぎるほど解ってしまった。リンゼイの手の中で小さな呻き声がする。泣き叫びたいのを必死で堪え、物音を立てないよう、どうにかその場を去った。
「探しました。こんな所にいたんですか」
ジョシュアとキャンディスの密会を目撃し、呆然としていたリンゼイ。夜会の最中というのは意識の外にあった。
どこをどう歩いたのかすら覚えがなく、テラスの椅子に腰を下ろしていたところをレオナルドが探しに来て見つかった。
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