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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
「………」


ん?
急に静かになった。


嘉之は、黙ったまま動かない…なんだろう?


恐る恐る覗き込むと、フェイドアウトしてる。 


つまり…寝ちゃってた。


この体制だと、倒れてしまう。 
ベッドまでは流石に連れて行けないので、ソファーに横にならすしかない。


とりあえず、身体に掛けるものを取ってこよう。


寝室らしき場所に、タオルケットを取りにいく。


部屋は、四畳半にパイプベッドだけの部屋だった。


「クス…なんもない…」


ベッド以外に、唯一目に付いた壁に立て掛けてる、一枚の作品があった…。


《Il mio profumo》


受賞作品…


その絵を見詰めながら、なんとも言えない穏やかさが、満ちる。


タオルケットを抱え、嘉之の元にいくと、スヤスヤ寝息を立てている。

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