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理想と偽装の向こう側
第4章 同棲スタート
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「はぁ?あんた、いい年して何面白い事してんのよ!」


親友の北川黎子は、容赦なく言い放った。


夕刻になり、私も外で食べようと親友の黎子に連絡したら、あっさり
「オッケー!」と返事が来た。


黎子は自分の考えや理念をしっかり持っていて、余り感情的にならないから、相談事も結構聞いてもらっていた。


「ついこないだまで、嘉之と別れるかどうかで散々悩んでグチグチ言ってたクセに、本当に流され易いわね!」


「…返す言葉もございません…」


黎子の放つ痛烈な言葉に身を竦め、やっぱり有り得ない経緯を自分自身に自覚させていく。


「その荷物見ると、同棲する気なんでしょ」


「うん…何となく断れなて…」


そうなんだ…
私は小田切さんが出勤したあと、家に戻り一週間分の衣類や必要最低限な物を荷物にまとめ持って来ていた。 


「家賃も取らない、エッチ抜きでって、本当なのかね?」


「う~ん…ノリは軽いんだけど、何となく凄い誠実な人だとは思うんだよね」


「誠実な人が会ったばかりの女に同棲申し込むのか?下心なければ、ホモセクシャルを隠すためとか?」


「いや、彼女はいたみたいだから、それもないかと…半年くらい前から会えなくなったって言ってた」


「会えなくなった?別れたんじゃなくて?」


「その話も最終的にはぐらかされたんだけど…何か愛情は進行形な気がするけど、状況は過去形なのが気になったな…」


「何が言いたいのか、分かるような、分からないようななんだけど…」


黎子は眉間にシワを寄せて、ハイネケンを一口飲む。


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