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理想と偽装の向こう側
第11章 亀裂
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ぼんやりと目が覚めて、時計を見ると5時だった。


泣き疲れて寝てしまったけど、深く眠れたようだ。


起き上がろと体勢を変えると、枕元に少し濡れたタオルがあった。


あ…瞼冷やしてくれたんだ。


ティッシュの山も、ゴミ箱に捨てられていた。


基本的には、優しいと思うんだけどな…
あの豹変ぶりさえなければ…。


けど、そこも含めて須永嘉之なんだ。


洗面台に向かうと瞼の腫れはかなり引いていて、なんとかなりそうだ。


着替えてキッチンへ、昨日のシチューは残ってるけど、朝から食べるのもなんだしな…。


卵を冷蔵庫から、取り出しスクランブルエッグを作る。


「香織…もう…起きたの?」


音で気付いたのか、まだ若干、寝ぼけ気味で嘉之が起きてきた。


「うん…おはよう…目覚めちゃったから」


「ん~いい匂いだな…スクランブル?」


「そう…食べる?」


「食べるわ…顔洗お…」


こうしてれば、穏やかな日常の一幕なんだけどな…。

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