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理想と偽装の向こう側
第4章 同棲スタート
「今日、香織ん走って帰って来たの?ちょっと息あがってたよね」


「あっはい…ピンポンダッシュ…出来なかったから」


正直に話したが、自分でも走って帰らなくても良かったかなと照れ臭くなった。


「ごめんね、急がせちゃったかな」


言葉とは裏腹に笑顔の小田切さん。


「あっ、でもですね!嬉しい事があったんで浮かれて走ってしまったんだと思います!」


そうだ!
井関さんに励まされて、私はきっと嬉しくて走ってたのかも!


「そんなに良いことあったの?」


「う~ん…人によるかもですが私には凄い有難い事で…」


会社から帰る時の井関さんとのやり取りを全て話した。


思えば小田切さんには、不思議と隠さず話せてしまうな…正に小田切マジック!


「ここ何年か私、凄い周りが見えてなかったんだなって…恋愛で悩み過ぎて、凄い器が小さくなってた事に気づいて…」


話続ける私の話を小田切さんは、手を止めて黙って聞いてくれている。


「私もその主任みたいに、人の本質をしっかり見れる人間と言うか…器になりたいなぁ~て!人の優しさに気付けるようになりたいし、人に優しくなれるよう成長したいと思ったんです!」


その言葉に、小田切さんは一瞬切ない表情になったけど、直ぐにいつもの柔らか微笑みで、私の頭をポンポンと撫でて


「いい先輩がいて有難いね。そうゆう人がいる会社は安心できるし、自分の成長にもってこいだ。香織んもそれに気付けたなら、その恋愛も報われるよ」


「そう…ですかね」


また誉められた気がして、顔が弛んでやしてないかと思う。


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