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理想と偽装の向こう側
第12章 板ばさみ
「あら、おめでとう!脱、嘉之ね!」


黎子は本当に嬉しそうに笑った。


「…いいのかな…」


「何が、しょうがないでしょ。シチュエーションや小田切さんの人柄考えたら、大抵そうなるんじゃない」


冷静に、分析させられる。


「うん…やっぱりプライドかな…嘉之との6年間…何だったんだろうって思って…」


「小田切さんに会うためだったと思えば~」


「マジっ!」


妙なところでポジティブシンキングだな!


「結果オーライならいいじゃない。まだ出てないけど」


おいっ!


「とりあえず、お子ちゃま嘉之よかいいわよ」


「嘉之の…この先が不安だ…」


「中途半端な情に流されたらまた、奴隷生活よ!まあ、ある意味、上下関係は成り立つけどね」


「分かってる…傷付きたくないけど…傷付かない恋愛なんて、どこかにあるのかな…」


「流石にないんじゃない。所詮人の感情で成り立つものだから、表に出さなくても腹に抱えてたら一緒だろうしね」


嘉之からは私がどう思ってるかとか、どうしたいとか聞かれたことなかったな…。


好きかは、散々聞かれたけど…。

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