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理想と偽装の向こう側
第12章 板ばさみ
「香織…あなたが迷えば、二人も迷うわよ…」


「え…」


黎子は、冷酒を注ぎ始めながら低い声で言った…。


「修羅場…見たくないでしょ…」


「修羅場っ!!」


思わず、小田切さんと嘉之が対峙している図が浮かんだ。


絵面的には、悪くないな…なんて言ってる場合じゃない!!
そんなことになったら最悪だっ!


「あ…でも、小田切さんが嘉之と戦う理由はないよね」


「小田切さんがなくても、嘉之は絡んでくるんじゃない?」


「…そこまで…するかな~?」


「思い返してごらんなさい。あんたが一番解るでしょ」


…やる…
嘉之の手段の選らばなさと、妙に知恵が回るところ…
想像するだけで背筋が氷そうだった…。


嘉之には、小田切さんの存在はバレない様にしないと…。
ん?じゃあ、隠し続ける状態はいつ終わるんだ?


「あっ!」


「どうしたの?」


「嘉之、海外に行くかもしれないんだ!」


希望が見えてきた!
きっと私の瞳は、輝いてたハズ!


「拉致監禁されない様に今からGPSでも内蔵しておきなさい」


黎子は冷酒を手酌しながらクイッと飲み、捨て台詞を吐いた。


「拉致…かん…って…」


…有り得そうで怖いな…トホホ~。

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