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理想と偽装の向こう側
第12章 板ばさみ
エンジンを掛けて、ニュービートルが走り出す。


「私、ニュービートルに乗るの初めてだな!」


「まあ、周りで持ってるヤツ居ないしね」


嘉之も凄い嬉しそうだ、見せたかったのかな。


「色が珍しいよね。イエロー系とかが、多くない?」


車に詳しい訳じゃないけど嘉之がニュービートル欲しいなって、呟いた時に調べたことがあった…。


嘉之の一言で、私の世界は回ってたな…。


「最近は色々あるけどグリーン系はね。たまたま…安くあったから」


「へぇ~」


ニュービートル談義で盛り上がってる内に、私のアパートの近くの公園まで着いた。


先週あんな状況だったのに、暗くならなくて済んで良かったと内心胸を撫で下ろす。


「ありがとう…お祝いは、また今度プレゼントでもするから」


「香織…話あんだけどさ…」


嘉之が、改まって言ってきた。

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