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理想と偽装の向こう側
第12章 板ばさみ
洗面台に両手を着いて、鏡を見る。


四六時中気になる人が側にいて、優しくしてくれて、微笑んでくれる…。


どうしよう…
小田切さんの一つ一つにドキドキしてしまう自分がいる。


幸せ過ぎて夢見てるみたいだ…。


このままだったら歯止めが利かなくなるんじゃないかな
…その時、この関係は崩れてしまう…。


「はぁ~」


ため息が、また落ちる。


部屋に戻って着替えようとしたら、携帯かランプが光っていたので確認すると…

嘉之からメールが三件入っていた。


ヤバっ!寝てて気付かなかった。


『おはよう、土日予定どう?』
『今日は会える?』
『明日でもいいけど』


…会うのが前提になってるよね…
こうゆうところは相変わらずたな…。


出来れば会いたくない…でも、私たちの関係をハッキリさせないと、容赦なく繰り返される上下関係。


週末のために小田切さんが仕事毎日遅くまで片付けてくれてるのを考えると、出来るだけ一緒にいたいと思う…。


……きぃぃぃっ!!
こんな自分に、一番イライラしてしまう!

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