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理想と偽装の向こう側
第13章 対決
言わなきゃ…。


ドックン、ドックンと、まるで身体中が心臓になったみたいだ。 


息をのむ…

どうか、一歩踏み出させて下さい…。


「嘉之…イタリアなんだけど…」


「ん~?」


カラン…と氷が落ちる。


「…イタリア…私…行かない…」


「そう…今すぐ答え出さなくてもいいよ。仕事とか、片付けないといけないのもあるだろ?」


はぐらかそうとしてるのが、分かる。


「来年からも…行けない…」


「香織、ここ住む?」


「えっ?」


何故そんな展開?


「ここ空けとくのも何だしさ…てか、一緒に今から住めばいいじゃん!」


「はぁ?」


「その間、考えれば」


どこまで本気なんだろう?


「嘉之!あのね!」


「香織っ!!」


ビクッ!
嘉之の声が荒くなる。


「何かあったのか?」


「あ…」


直ぐには、核心に触れさせない…
きっと、のらりくらりと誤魔化して、力で捩じ伏せる。


ここで、臆したら変わらない。
嘉之のためにも成らない…。
だから…


「住まないよ…嘉之…私もう…っつ!!」


言い終わろうとした瞬間、力任せにソファーに押し付けられ嘉之が覆い被さる。

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