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理想と偽装の向こう側
第14章 時限爆弾
月曜日

「おはよう…香織ん。よく寝れた?」


「う~ん…微妙…かな」


昨日、家に着いたのは深夜だった。


帰ってくると、否応なしに現実を突き付けられる。


少し作った荷物には、嘉之に渡された指輪も入ってる。


「香織ん…辛くなったら、いつでも戻っておいでね…」


「うん…」


「一人で抱え込んじゃ駄目だよ」


「はい…」


私は精一杯の笑顔を見せた。


「着けたんだね」


「うん!毎日着けるって言ったでしょ」


左手のブレスレットが勇気をくれる。


「じゃあ、俺ももらおっかな~!」


「えっ!何を?」


やっぱり、自分で1つ買っとくべきだった!


「ブレスレットがいいの?」


「ん~?これ~!」


「へっ!」


小田切さんの唇が、私の額に触れている…。


「わっ!小田切さん!」


「黙ってて…」


ギャーー!!


額にくっつきながら、唇動かさないで下さい!


「オッケー!あれ、香織ん?大丈夫~?」


「は…はい…」


この人、本気で私の気持ち気付いてないのかな…?


最近、心臓がいくつあっても足りない気がするよ~。

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