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理想と偽装の向こう側
第16章 懐古
入り口に入ると空間や光彩を活かした作りに成っていて、ほのかに漂うアロマの香りにリラックスムードになる。 


ナチュラルペーストも加えた、エントランスが都会の中にも自然を感じさせる様だった。


「いらっしゃいませ」


穏やかに、招き入れられる。


「予約してないんですけど、大丈夫ですか?」


「空きを確認致しますね。コースは、いかがいたしましょう?カップルコースもありますが?」 


「へ?」
「えっ!」


ニッコリと綺麗なお姉さんは微笑んだ。


すみませんね…
まだ、付き合ってないんです。


そんなのあったんだ、そこまで中身確認しないし、そんなコースが存在するなんて思わないだろう。


水越さんが、赤くなってるのを横目に、一応内容を聞いてみた。 


「カップルコースって、どんな内容ですか?」


こちらもありったけの笑顔を向けたら、受付の女性は何故か顔を赤らめ、戸惑いながら話し始めた。


「えっ!あっ!はい、個人のコースは個室で施術しますが、カップルコースは仕切りなしでお互いの顔を見ながら出来るんです。」


チラリと、水越さんに視線がいった。

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