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理想と偽装の向こう側
第19章 罪悪感?
「何にしよう~」


小田切さんの提案通り、食後レンタル屋に物色に来た。


「香織ん!これは?新作のサスペンスだよ!」


「あ~!見たい~!」


あっ…でも、最近自分がサスペンス劇場だったのも、サスペンス観すぎだからかな?
…そんな訳ないか!


そんな自問自答をしていると


「あ…これ…」


最初に借りに来た時に、小田切さんが避けた作品。


きっと、光花さんもハッピーエンドがいいと観なかったモノだろう。


世間には、有名な純愛作品…。


「これ…観たい?」


突如、小田切さんの声が降ってきた。


「えっ!ううん!ちょっと目に付いただけ!」


急いで棚に戻すと


「それね…感動的でヒットしたけど…所詮映画だからだよね…他人事だから、感動もんに出来るんだよね…」


小田切さんらしくない、棘がある言葉。


いつもより低い声音で、言い捨てる。


「小田切さん…?」


私が伺うように見上げると、いつもの小田切スマイルになり


「…何てね!光花がね、亡くなった当初は荒んでたからそう思ったけど…きっと美しい純粋な愛情に、みんな感動するんだよね…」


「うん…そうだよね…」


そう言ったけど…
じゃあ…私たちは?


どうしようもなく、傷を舐め合って現実逃避してるだけの関係は?


「香織ん!二本借るけど~他は?」


「あっ!大丈夫!」


カウンターに向かう小田切さんを追いかける。


その答えは…

きっと誰も導けない気がした…。

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