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理想と偽装の向こう側
第6章 予測不可能
金曜日の仕事帰り。


予定通り、駅前のレンタル屋に来た。お店に入って、小田切さんを探してみる。

『先に着いたら、何本か選んでおいて』
と、言ってたな。


店内を物色しながら、回る。先ずは、やっぱりサスペンスでしょ!


ミステリー、スリラー系のブースに向かおうとした時、メールの着信音が流れた。


小田切さんからだ。 


『もうすぐ着くよ~ん!』

よ~ん!て…。


会社では、本当にどんなキャラなのか考えてしまう。
滝島さんは、プライベートと違うようなこと言ってたよな。


滝島さんと話してる時が、一番素なのかもしれない。


黎子語録にあったかも…
『女は男を取るけど、男は男を取るわよ。』


う~ん…友情に勝るべきもの無し!

ん…?
友情も愛情でもない私たちは、何にも勝らないのかな…。 


「着いたよ~ん。」


「っ!!!」


小田切さんの声に驚いて叫びそうになったが、店中に響くのでなんとか堪えた。


「お待たせ~」


「小田切さん!」


「香織んサスペンス派なんだ。俺何にしよっかな」


私が驚いたのを気にもせず、作品を選びだす。


「お薦めは?」


「えっと…無難なのは推理ものなんですが…」


上の棚にあるのを取ろうとしたが、若干届かない。


「これ?」


ヒョイと小田切さんが、取ってくれた。

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