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理想と偽装の向こう側
第20章 さよなら
「私…だけ…」


「そうだなぁ~」


小田切さんは餡を拭い取った指を舐めてから、タオルで拭き始める。


「きゃ!」


「最初から…恥も外聞も香織んには、無かったからかな…」


ドキンッ!心臓が驚く。
なんで!?


「何か開放感が湧いちゃって…」


ドキンッ!ドキンッ!
そうなの?


確かに最初から、素だったかも…。


「香織んと居ると…安心出来るからかな…」


キュン…
それは、ズルいよ…小田切さん。


「それに、香織ん何しても受け止めちゃうんだもん!」


「なっ!」


流され易いってぇ~事かい!
トホホ~


「どうせ…」


「何でも許してくれるから…歯止めが利かなくなるよね…」

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