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異世界のイケメンに脱童貞させてくれとお願いされている
第1章 壁に穴が空いた
動画をふたつほど見終わって、チューハイも一本空になった頃、背後から突然声をかけられた。
背後といってもここはワンルームマンション。わたしの後ろには白い壁しかない。そのはずだった。
だが一缶で酔っぱらえるわたしは、特に疑問も抱かないまま「ほーい?」と適当な返事をして振り返った。
そして一気に酔いが醒めた。
壁には、でっかい穴が開いていた。
正確にいうと、壁いっぱいに金色の窓枠のような、扉の敷居だけみたいなものがくっついていて、その枠だか敷居だかよくわからないものの向こう側から、金髪の男がこちらを覗きこんでいた。
「は?」
間抜けに固まるわたし。
同じく、目を見開いたまま硬直している男。
最近だらだらと続けているアプリの金髪騎士に似ているな、というのが最初の印象だった。
短く刈り込んだ金髪と、薄いブルーの瞳。西洋人のような彫りの深い顔立ち。体はがっしりしていて、それこそファンタジーゲームに出てきそうな西洋風の鎧を身につけている。筋肉たっぷりでいかにも騎士っぽい。