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異世界のイケメンに脱童貞させてくれとお願いされている
第1章 壁に穴が空いた
逃げる間もなく、騎士風の男に抱き上げられる。
筋肉質の腕、すごいな。まさかこの歳になってお姫様抱っこをされるとは。鎧が固くて当たると痛いけど、安定感抜群の抱かれ心地だ。胸筋の薄い東洋人ではこうはいくまい。
すぐ近くにきた顔は、はっきりいってイケメンだった。髭の剃り痕もなく、つやつやとした白い肌をしている。さてはわたしよりも年下だな。鼻高い。睫毛も金髪とかマジかよ。同時に、首筋から花のような甘い匂いがした。コロンでもつけているのだろうか。不覚にも胸がきゅっとなる香りだ。
騎士はわたしを抱き上げたまま、穴の向こうの神殿らしき建物に戻っていく。後ろを振り向くと、わたしの部屋に繋がる扉が閉まろうとしていた。
「え? はあああ?! わたしの部屋ぁ!?」
悲鳴もむなしく、金色の蔦が絡まる派手派手しい扉は閉ざされた。残されたのは、白い石造りの小部屋にいる騎士と、お姫様抱っこのわたし。
「ちょ、まっ、下ろして! てゆーかあんただれっ?」
「自分のような者の前に降臨してくださるとは光栄です! 自分はユーグであります!」
下ろしてってところは華麗にスルーして、騎士は名を名乗る。