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異世界のイケメンに脱童貞させてくれとお願いされている
第1章 壁に穴が空いた
「不審者か! 痴漢か! マンションの壁に穴空けるなんて、大家にちゃんと弁償しなよ、ばか!」
そんな問題ではないような気もするのだが、動転しているわたしには咄嗟にこんな言葉しか浮かばなかった。
ユーグと名乗った男は恐縮している。その態度はおどおどしていて後ろ暗いにもほどがある。
「自分は不審者でも痴漢でもございません。た、ただ、あなた様の手で、ど、ど、ど、童貞を卒業させていただこうと!!」
「やっぱ痴漢じゃないか!!!」
下からイケメンの顎に掌底をくらわす。彼は舌を噛んだらしい。ざまぁみろ。
ユーグとかいう男が悶絶しているうちに、わたしは彼の腕から降りた。着地にちょっと失敗して腰を打ったが問題はない。
すぐに自分の部屋と繋がる扉にしがみつく。財布とスマホとコートを持って逃げる! 交番に駆け込む!
だが、扉が開かない。なんでだ!
「め、め、女神様……」
「誰が女神じゃ! こっちくんな変態!」
ダメージが回復したらしいユーグがよろよろとやってくる。その手がこちらに伸びてきて、わたしは最後の賭けで絶叫した。
「きぃやあああああああ!」
頼む。誰か助けにきてくれ。このままじゃわたし、犯される。