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異世界のイケメンに脱童貞させてくれとお願いされている
第2章 女神様と童貞
 

 神官らしき麗人はやはり神官だそうだ。ユーグよりも冷静な彼の説明はわかりやすかった。

 ここは神殿、わたしの召喚された部屋は祈りの小部屋というらしい。石造りのシンプルな部屋に、入口の質素な木戸。そして奥には金でできた扉がある。この扉の前で祈りを捧げると、時折神様が現れて願いを叶えてくれるらしい。

 なお、扉が開いたのは二十年ぶりだそうだ。二十年は長い気もするが、実際に神が現れる期間としては短い気もする。

「なるほど、異世界召喚。そしてわたしは女神、と」

 設定は理解した。しかし、問題は帰り方だ。

「ちなみに、今まで現れた神様たちは、自分の世界に帰ったの? それとも一度ここへきたらずっとこの世界で暮らした?」

 神官が恭しく頭を下げながら答えてくれる。

「記録によりますと、多くの神々が願いを叶えられた後、帰還されたとのことです」

「ふーん」

 わたしの部屋に通じる扉は開かない。しかし帰った神の方が多いなら、何か方法があるはずだ。

 そこでわたしはユーグを軽く睨み付けた。彼は一瞬だけびく、となったが、後は直立不動だ。

 わたしが呼ばれたのは、彼が扉の前で祈ったのが原因だろう。願いの内容は童貞卒業。

 わたしに見られていると知って顔がだんだん赤くなってきている。こやつめ。つまりセックスがしたいのだろう。神様に祈る内容としてどうなんだ。いや、絵馬に書いてある合格祈願とか商売繁盛とかも欲望丸出しなんだから、童貞卒業も同じようなものか?

 わたしの推理するところでは、たぶんユーグの願いを叶えてやれば扉は開くと思う。

 
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