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そのキスは許されていない……
第2章 私の妻(おんな)

ふたたび沈黙が部屋を支配する。
この問いにこれ以上何か反応するのは賢明ではないと思った。
反応すれば…
口を開いてしまえば…
奥底に封じ込めている何かが溢れ出してしまう。
黙ってさえいれば、これ以上何かを暴かれずに済む…
私はそう思い込もうとしていた。
誰も話さず、身じろぎもしなければ物音ひとつ立たない。
どこかで啼いている犬の遠吠えが、たまに静寂を揺さぶっていたが
それでも誰も…
動かなかった。
それから、しばらく3人はその沈黙の中に溶け込んでいたが…
携帯の震える音が響く。
それを合図に背を向け膝をついていた女が、
こちらを一瞬だけ振り返った。
その瞳が妖しく光っていたような気がして…
背筋に震えが走った。
「旦那様、もうお時間です。何があっても…
例え誰の事を思っていても、私はこの人が好きなのです。
どうか…
どうか私の願いを叶えて下さいませ」
首を垂れる女の頭に…
大旦那様はすっと手を伸ばして、優しく髪を梳きながら撫でた。
「わかった。お前の願いはかなえよう。後は好きにするがいい…」
それだけ言うと女から手を引きながら立ち上がり、こちらに近づいてきた。
この問いにこれ以上何か反応するのは賢明ではないと思った。
反応すれば…
口を開いてしまえば…
奥底に封じ込めている何かが溢れ出してしまう。
黙ってさえいれば、これ以上何かを暴かれずに済む…
私はそう思い込もうとしていた。
誰も話さず、身じろぎもしなければ物音ひとつ立たない。
どこかで啼いている犬の遠吠えが、たまに静寂を揺さぶっていたが
それでも誰も…
動かなかった。
それから、しばらく3人はその沈黙の中に溶け込んでいたが…
携帯の震える音が響く。
それを合図に背を向け膝をついていた女が、
こちらを一瞬だけ振り返った。
その瞳が妖しく光っていたような気がして…
背筋に震えが走った。
「旦那様、もうお時間です。何があっても…
例え誰の事を思っていても、私はこの人が好きなのです。
どうか…
どうか私の願いを叶えて下さいませ」
首を垂れる女の頭に…
大旦那様はすっと手を伸ばして、優しく髪を梳きながら撫でた。
「わかった。お前の願いはかなえよう。後は好きにするがいい…」
それだけ言うと女から手を引きながら立ち上がり、こちらに近づいてきた。

