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そのキスは許されていない……
第2章 私の妻(おんな)
「佐伯。私はうそつきは大嫌いだ。

ここでだけは本音を言えと言っても、そうやって誤魔化そうとする行為は…

私に対する裏切りだろう?

そんなことで私を欺けるとでも思っているのか?

それならその考えは今夜を境に改めた方がいい。

今夜お前を呼んだのは、お前にこの女を紹介するだけのつもりだったが…

気が変わった。

私は所用があるから、屋敷に戻る…」

言い捨てながら、大旦那様が部屋を出て行かれる。


苦いモノが口の中に拡がった。

どうしてこんなことで責めを受けなければならないのか…

誰しも秘めた想いはある。

何事も白日の下にすればいいってものではないだろう。


旦那様がいなくなればここに用はない。

ドアが閉まったのを確認して、それを追うように私も立ちあがり、

部屋を出ようとドアノブに手をかけたが…

それは開かなかった。


何度もノブを押し下げようとガチャガチャ大きな音をさせてはみたが…

それはびくともしなかった。どうしてドアが開かないのか?

その疑問を女にぶつけようと振り向いた時、

その目に飛び込んできたのは…

いつの間にか全裸になり、長い髪を振り乱して

何かを手に持ってこちらに向かってきている女の姿だった。
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