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女子大生 成宮恵理
第10章 好きな人、いるよ
「恵理さ、今好きな奴とか気になる奴とかいないの?」
それを聞いて恵理は少し黙り込んだ後、じっと悠一郎の顔を見つめた。
いや、見つめるというより睨み付けると言った方がいいのかもしれない。
「な、なんだよ。」
睨まれて少し顔を怯ませる悠一郎。
やはり悠一郎には恵理に睨まれる理由が分からないらしい。
恵理はそれから目線を外して向き直ると、半分程残っていた缶チューハイをグビグビと一気に飲み干した。
そしてテーブルに空になった缶を置くと、小さく口を開いてこう呟いた。
「……いるよ。」
「えっ!マジで?誰?」
悠一郎はかなり驚いた様子でそう聞き返した。
「……悠一郎君には関係ない。」
「おいおいそんな事言うなよ~俺達の仲だろ?で、誰なんだよ、それくらい教えてくれてもいいだろ、なぁって、なぁ。」
悠一郎は笑いながら擦り寄ってきて肘でツンツンと恵理の身体をつつきながら冷やかすように聞いてくる。
悠一郎に触れられて一瞬ドキッとしながらも、恵理はそんな悠一郎を撥ね(はね)返す。
「もうっ!悠一郎君には関係ないって言ってるじゃない!」
「わ、分かった分かった、そんなに怒るなって。恵理って酔うと怒りやすくなるんだっけ?」
「悠一郎君が執拗いからよ。」
こうやって強く突き返さないと悠一郎は無邪気に恵理の心を掻き乱すから、恵理はこうするしかないのだ。
しかしそれでも悠一郎はなかなかその話題を終わらせてはくれなかった。