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女子大生 成宮恵理
第27章 帰ってきちゃった
悠一郎は焦った表情でジェスチャーで「俺隠れてるから何とかして」と恵理に伝えると、音を立てないようにしてクローゼットの中に入っていった。
残された恵理はそんな状況に未だ混乱しつつも、奈々をこの部屋に入れる訳にはいかないため、急いで玄関へ向かった。
「……奈々?」
「あー恵理、やっぱいるじゃん。」
「ご、ごめん、お風呂入ってたから。」
濡れたままで髪で、そう小さな声で答えた恵理。
「そうだったんだ。あのさこれ、お土産持ってきたんだけど……ていうかどうしたの?恵理、目真っ赤だよ?」
「えっ?あ、これはあの……えっと……ちょっとシャンプーが入っちゃって、それで……」
恵理は嘘をつくことに慣れていない。
当然目が充血しているのはついさっきまで悠一郎の前で号泣していたからだ。
それを指摘されてあからさまに動揺してしまう恵理。
「大丈夫?ちょっと腫れてない?」
「だ、大丈夫だよ。ホント、ちょっと入っちゃっただけだから。……それより奈々、2,3日実家に帰るって言ってなかったっけ?」
「あーうん、本当はそのつもりだったんだけど、なんか居心地悪くて。お母さんが就職活動の話ばっかりしてくるんだもん。嫌になっちゃって早めに帰ってきちゃった。」
「そ、そうだったんだ……。」
「あ、ねぇそれよりお土産、今から一緒に食べようよ。恵理が好きそうなお菓子買ってきたから。もうすぐいいとも始まるし一緒に見よう。」
そう言って当然のように部屋に上がろうとする奈々。
それを恵理は咄嗟に止める。