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女子大生 成宮恵理
第28章 ごめん
恵理が部屋に戻ってくると、クローゼットに隠れていた悠一郎がノソノソと出てきた。


「行った?奈々。」


「……うん。」


「いやぁ、今のはマジで危なかったな。こんなに焦ったの久しぶりだわぁ、ハハッ。」


間一髪の危機を免れた安心感からなのか、笑っている悠一郎。

しかしそれに対して恵理の表情はひどく暗いものだった。

これからどうしたらいいのか、という言葉が呪文のように恵理の頭の中を駆け巡っている。

この苦しさに、独りで耐え続ける事は難しい。

だから今、恵理が頼る事ができるのは目の前にいるこの男しかいないのだ。


「……ねぇ、悠一郎君……私たち、これからどうしたらいいのかな……?」


恵理は自分を責め、悩み切った表情で弱々しく、そして縋る(すがる)ような気持ちで悠一郎にそう聞いた。

しかしそれに対し悠一郎は、時計を見ながらしばらく考えるような素振りを見せてこう返した。


「うーん、そうだなぁ……とりあえず俺、帰るわ。」


「え?」


思ってもみなかった返事と、その素っ気なさに一瞬呆気にとられる恵理。

聞きたいのはそういう事じゃないのに。

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