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女子大生 成宮恵理
第28章 ごめん
奈々は別のスナック菓子も持ってきて、それを食べながらバラエティ番組を見て笑っている。

恵理もそれに合わせるように一緒に笑っていたのだが、途中でとうとう耐えられなくなって泣き始めてしまった。


「アハハッ、もう面白過ぎ!ツボに入り過ぎてヤバいよぉ。ねぇ恵理……えっ?えっ?どうしたの恵理!なんで泣いてるの!?」


「ぅぅ……ごめん……ぅ……ごめん奈々……」


「どうしたどうした?え~なんで謝るのぉ?よしよし。」


そう言って奈々は泣き続ける恵理を、小さい子供をあやすように抱きしめて頭を撫でた。

奈々に抱きしめられながら、恵理は自分の事をズルい女だなとまた己を責めたが、それでも涙は止まらなかった。


「何か辛い事でもあったの?私で良かったら相談のるよ?ん?」


「ぅぅ……ごめん……違うの……ごめん、ホントごめん……」


奈々は只管優しい言葉を掛けれてくれたけれど、恵理は泣きながら謝り続けるだけで、やはり奈々に本当の事を打ち明けることはできなかった。

どれくらい泣き続けただろう、さすがに奈々も少し困惑していたようだったが、時間が経ち、やっとのこと恵理が泣き止むと、暖かい紅茶を入れて出してくれた。


「少しは落ち着いた?」


「……ごめん、ありがとう。」


沈んだ表情の恵理に、奈々は何かを察したのか、それ以上泣いてしまった理由を問いただすような事はしてこなかった。

もちろん、恵理と悠一郎の事について勘付いてしまった訳ではない。

それは友人としての察し、なのだろう。いくら親友でも人の心に踏み込み過ぎてはいけないという。

奈々はただ一言、「私に何かできる事があったら、いつでも言ってね」と言って、恵理を自室に帰してくれた。
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