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女子大生 成宮恵理
第29章 最低だよね

昨日は隣に悠一郎が居てくれた。

あの声、あの匂い、あの体温、そして肌と肌で感じた、あの感触。

心まで溶け合って、一つになった気がしてた。

でも、今は悠一郎の心が分からない。

呆然としていた恵理の目から、涙がポロポロと零れる。

悠一郎は軽い気持ちでいたのかもしれない。

でも自分はどうだろう。

親友から恋人を奪おうとしたの?違う。

一夜限りの関係で良いと思ったの?違う。

でも親友を裏切った事に違いはない。

悠一郎は恋人を裏切り、恵理は親友を裏切った。2人は共犯者だ。

だから裏切り者同士、いつ相手に裏切られても仕方ないのかもしれない。

でも嫌だ。あの言葉が嘘だったなんて思いたくない。

そうやって悠一郎の事ばかりを考えていると、いつの間にかまた奈々の事を忘れてしまっていて、自分の感情を優先してしまう。

世界で私が一番可哀想だって、被害者ぶりたくなる。

ただ好きだった。ただ好きで好きで堪らなくて、寂しかった。

今でも、もし悠一郎が突然現れて「一緒にどこか遠くへ逃げてしまおう!」と言われたら、きっと奈々を置き去りにして付いて行ってしまうに違いないし、それを心のどこかで期待している自分が今もいる。

私って最低。



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