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女子大生 成宮恵理
第29章 最低だよね
台風の日から数ヶ月、恵理はあの日以来、殆ど悠一郎と接触する事はなかった。
大学で悠一郎の姿を見かけても、恵理はわざと悠一郎を避けるようにしてしていた。
本当は悠一郎の事が気になって気になって仕方なかったけれど、こちらから話しかける勇気はなかったし、悠一郎から話しかけてくる事もなかった。
奈々と悠一郎の付き合いはしばらく続いていた。でもあの日以来悠一郎はアパートに来ていない。
恵理はその原因が自分にある事を確信していたが、奈々はそれには全く気付いていないようで、ただ「最近全然会ってくれない」と不満がってた。
そして、この3人の複雑な関係にとうとう終わりが訪れる。
それはある日の夜の事だった。
恵理がアパートの部屋で一人で過ごしていたところ、突然部屋の呼び出し音が鳴った。
時間は0時を過ぎた深夜だ。
誰だろうと恵理がドアに近づくと、外から奈々の弱々しい声が。
「恵理ぃ……ぅぅ……ぅ……」
それを聞いて何事かと思った恵理がドアを開けると、そこには顔をクシャクシャにして泣いている奈々が立っていた。