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第15章 Scene.14

　
「まだやられてねぇぞっ」

「あっちに行ったぞっ」

「っ…があぁあぁぁぁっ!!」

　絶えず争う声が聞こえる。

「か、勝ち目は…あるの？」

　声を押し殺して問い掛ける。

「ボスが居て……七割っスかね」

「じゃ、じゃあ………」

「ボスが居ない今………正直言って………良くて五分五分っス。
　状況次第では…………負ける可能性…大っスね………」

　言葉を選んでいるのは分かってる。

　それでも、少しは希望を持ちたかった。

「ご、五分五分なら………」

「『良くて』っス………」

「で、でも、まだ負けたと決まってる訳じゃ無いんだし。諦めたら」

「誰も諦めないっスよ。アッシらは負けたらそれが直ぐ『死』になるっスから………」

　頭の中が真っ白になってく。

　気持ち良いのとは違う。

　あるのは恐怖感だけ。

　平和な場所からいきなり危険な場所へと突き落とされた。

「だから姐御は、外の様子を伺って、静かになった所で窓から一気に逃げて欲しいっス」