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第15章 Scene.14

　
「姐御っ!!」

　現れた大男。

　山賊が叫ぶと同時に斧を振り翳す。

　でも、アタシは動けなかった。

　イノシシの頭部に樽のような肉体。

　ゲームやエロアニメなんかに出て来るオークの頭部をイノシシに変えたような獣人。

「早くっ!!」

　山賊の斧が振り下ろされる。

　でも、アタシは動かなかった。

　山賊の斧が、筋肉が盛り上がる獣人の左肩に刺さった。

「何してるっスかっ!?　今のうちに早くっ!!」

　両手で更に深く抉ろうと力を込める山賊。

　でも、アタシは動かなかった。

「うがっ!?」

　左肩を抉られながらも、獣人の丸太のような右腕が山賊を殴り付けた。

　明らかな体格差。

　殴られた山賊の体が宙を飛び、壁に激しく激突した。

　でも、アタシは動かなかった。

　逃げなかった。

「ｳｸﾞｯ………ｸﾞﾊｯ………あ、姐御…何で………」

　頭から血を流し、口元から血を滴らせる山賊。

「ｺﾞﾎﾞｯ……ｺﾞﾎﾞｯ………」

　更に吐血。

　その姿が霞んで見えない。

　徐々に静かになっていく山賊。

　壁を見る。

　窓を見る。





　窓の外にはガッチリとした格子が付いていた。