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隠匿シリーズ☆番外編
第4章 女たちの反乱
「……お盛んなことですね」
父に嫌味を言えば、狼狽える。
「わ、私はなにも浮気をしたわけではないぞ! 客観的な感想を述べただけだ」
「わざわざ母上の前で? 愛想を尽かされても知りませんよ」
突き放すように言うと、父はショックを受けて閉口した。
「それでお前は?」
「あたしこそなにもしてないわよ」
「ならなんでここにいるんだ」
「ここに……ニーナがいると思って……」
「その理由は?」
「えーっと……。アレよ、アレ。人生という大海原に意気揚々と旅に出たはいいけど、途中で難破して。そこでも小さな冒険をするのが男ってものでしょ? けど、その冒険は寄り道にしか過ぎなくて。そこで見付けた宝はどんなに美しくても本物じゃないわ。船が直れば男は本物を求めてまた旅に出るの。ただ……ニセモノの宝を置いてきたつもりが、ひょっこり現れて、自分こそ本物だって主張してくることってあるのよねぇ」
セドリックは身振り手振り大袈裟に、芝居じみて酔いしれて話し、最後は悩ましげに締め括った。
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