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隠匿シリーズ☆番外編
第1章 愛ある行為もほどほどに
散々着せ替えで愉しんだあとは、近くのティーサロンに足を運んだ。
「凄いな……。甘い物が美味しく感じられる」
「そりゃあアリエッタ様はお好きですから」
味覚もアリエッタのものだから当然なのだが、生クリームとベリーがたっぷり乗ったパンケーキがするすると喉を通る感動に浸る。
アリエッタになってみて目線も低くなり、景色も違って見えて。様々なことに感動してしまう。
ただ厄介なのは……。
「お嬢様方。お二人ですか? 良ければ僕らとこれからどこか行きませんか?」
貴族とおぼしき青年が二人、声をかけてきた。レオはひっそりと溜め息を零す。
ブティックからの道すがらにも、代わる代わる声をかけられた。
アリエッタの美貌は本人はあまり気付いてないようだが、男の視線を惹き付けてやまない。
これだから一人で出歩かせたりしたくないのだ、とレオは眉根を寄せた。
ナキラがすかさず青年ににこりと微笑み。
「こちらのご令嬢をどなたかご存知ですか? とあるご高貴な方のご寵愛を受けていらっしゃる方です。社交界で生きていかれたくば、即刻立ち去ることをお勧めします」
にこにこしつつナキラから醸し出る空気は不穏を孕む。青年たちは顔を見合わせ、曖昧な笑いを浮かべてそそくさと逃げた。
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