この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿シリーズ☆番外編
第1章 愛ある行為もほどほどに
しつこく言い寄ってくるだけの気概がないなら、端から声などかけねばいいのに。
たとえしつこくとも店で事を荒らげれば、外で控えている衛兵が飛んでくるだろうが。
「情けないことですね。さ、レオ様。そろそろ戻りましょう」
ナキラに同意し邸に戻る頃には陽が落ちようとしていた。
「で、覚悟は決まったか?」
食事を終え、アリエッタと二人きりになった部屋で、出来るだけ優しい声色で問い掛ける。
「…………」
しかしアリエッタはといえば眉を垂れ下げ朝と同様、ソファーの隅で縮こまっている。
「時間は充分やったろ? そろそろ観念したらどうだ」
「だって……」
「情けない声を出すな」
己のこんな姿を見せられ、レオまで情けなくなる。
「いつもしてることだろ。なにがそんなに嫌なんだ」
「全然違うわ……。レオは怖くないの?」
「あのなぁ……」
詰め寄ろうとするとアリエッタはおもむろに立ち上がり、脱兎のごとく部屋から飛び出す。
「ごめんなさい! やっぱり無理なのっ!」
そう叫びを残して。
.