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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方
「殿下はご存知かとは思いますが……私の娘ジゼルです」
紹介された伯爵の隣にいる女性──ジゼルは上品な笑みを浮かべ、アリエッタに向ける。アリエッタもなんとか笑みを返すが、上手く笑えている自信はなかった。
ジゼルよりももっと眼を引く人物に、伯爵は注視する。
「そしてこの子はジゼルの息子のサイラスと言います」
ジゼルに抱かれる、まだ一歳半くらいだろう赤子こそ、不安を駆り立てる正体。
無邪気な笑顔を振り撒くサイラス。普通ならば周りをも笑顔にさせるだろう、小さな存在。
だがあまりにも不自然すぎる状況に、誰も彼もが厳しい面持ちだ。
というのも、アリエッタの記憶によればチャールトンは伯爵の位を賜っているものの、有力貴族でもなければ、王家との繋がりも薄い。
わざわざ一同を呼び出し、しかも子連れの娘を連れてくること自体がすでに不自然なのだ。
さらに不安の要素はサイラスの容姿にあった。
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