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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方
「ジゼルが身籠ったとき、相手のことを頑なに教えてはくれなかったのですが、最近になってようやく打ち明けてくれまして」
伯爵の話は耳を滑り抜けていく。視界は真っ暗で、彼やジゼル、サイラスの姿さえ見えない。
「娘も生涯黙っているつもりだったようですが、サイラスが父親の顔すら知らないのは可哀想だと説得し、教えてくれたのです」
ジゼルは心底申し訳なさそうに瞼を伏せる。
サイラスが時おり放つ、キャッキャと甲高くジゼルに戯れる声が響く室内で、伯爵は王城へ来た経緯を淡々と話す。
ジゼルが秘密にしていたのだから伯爵もレオや王たちに明かすつもりはなかった。だが、とある頼みのため──サイラスにためにきたのだと。
結婚したばかりのアリエッタも呼んだのは、こんなことを聞かされるのは酷だとは思ったものの、あとから聞かされたり、万一どこからか話が漏れ、悪戯に聞かされるよりはきちんと話しておいたほうがいいとの判断からだそうだ。
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