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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方

淡々と、だが丁寧に話される内容は、アリエッタに流れ込んでこない。衝撃の重たさに受け止められないのだ。
「誤解なきよう申し上げておきますが、我々はサイラスを殿下のお子と認めて欲しいとも、公表する気もございません。ただ願わくば、一度でいいのです。サイラスを抱いてやってはいただけませんか」
伯爵の懇願に、アリエッタ以外の視線がレオに集まる。
物心もつかぬサイラス。ここでレオが抱いたとしても、記憶には残らないだろう。
しかし伯爵やジゼルの気持ちも解らなくはない。いつの日かサイラスに聞かせてあげたいのだろう。一時だったとしても、親子の時間が持てたことを。
「……伯爵。申し訳ありませんが、少々お時間をいただけませんか」
「ですが殿下! 抱いてくださるだけでいいのです。お時間もなにも……ほんの少しでいいのですよ」
「伯爵。妃の気持ちも考えてやってください」
食い下がる伯爵を止めたのは王妃だった。
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