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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方

彼らの配慮に未熟さを突きつけられ、苦しさが込み上げる。
ジゼルはまた涙を滲ませ、震える声で話す。
「殿下は私が勝手にサイラスを生んだことを怒ってらっしゃるのかしら……。でも当然ですよね。あの頃……殿下にご寵愛をいただいていた頃。お慕いしていたのは私だけでしたから。知っていながら相談もせずサイラスを生み、今さら抱いて欲しいだなんて。お怒りをかっても当然ですわよね」
「ジゼル様……。それはきっと誤解です。彼は……レオはそのようなことで怒ったりはしません。多分、戸惑って、それから私に気を使っているだけです」
そしてそれがサイラスに逢わない最大の理由だろう。
アリエッタの存在が親子の、そして本来家族となるはずだった者たちの対面を阻んでいる。
ジゼルは一方的な恋慕を示唆する口振りだが、それもアリエッタを気遣ってのことかもしれない。レオとジゼルが秘密で逢っているのがその証拠だ。
今さらレオのアリエッタへの愛情を疑うわけではない。彼は全身全霊で愛を伝えてくれる。
けれど昔の恋慕が再熱することだってあるだろう。
二人が仲睦まじく寄り添っているのを想像しそうになったところで、アリエッタはグラグラする頭を振った。
(いけない……。今はサイラスのことを考えてあげなくちゃ)
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