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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方

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火がくべられた暖炉では炎が揺らめき、パチパチと火花が爆〈ハ〉ぜている。室内は暖かく、だがそれとは対照的に帰宅したレオとアリエッタの間には冷え冷えとした空気が流れていた。
たった今、アリエッタは彼にサイラスの件を頼み込んだのだ。それに対しての返答は「会う気はない」だった。
それどころか、
「このことに関わるな。二度と口にもするな」
と、冷たく言い放たれた。
最初こそショックを隠せなかったアリエッタだったが、悩んだ末に懇願したのに撥ね付けられ、腹も立ってきた。
「どうして? サイラスはあなたの子でしょ? なぜ彼にそんなに冷たくできるの?」
「だからキミは……」
「それにサイラスは、次の王位継承権第一位を持ってる子だわ」
「!?」
驚愕に眼を見張るレオに構わず、アリエッタは覚悟を告げる。
「わ……私たちの間にはまだ子供はいないわ。サイラスが次代の王位継承権があるのは明らかよ。この先、私たちに子供ができても、それを覆す気は私にはないの」
国に混乱を招くのならば、いっそのことサイラスを容認し、王子として擁立すべきだ。
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