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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方



 ただ、アリエッタの気持ちひとつで決められる問題でないのもまた明らか。問題の最たるはアリエッタにある。


 正妃との子を差し置いて、外で作った子に王位を与えるとはと、重鎮から声が上がるであろう。だったら──。


 アリエッタは刹那俯くと瞼を閉じ、厳しい顔付きのレオを捉える。


「レオ。あなたがもしジゼル様に心が傾いているなら私は……」


「アリエッタ!」


 鋭く止められ、息を飲んで唇を噛む。決死の覚悟を叱りつけられ、泣きそうにもなる。


 レオは不機嫌そうな嘆息をした。


「キミはいつもそうだな。他人を優先して自分の気持ちを簡単に捨てる」


 簡単だなんて言わないで欲しかった。レオと離れる選択は、身を裂かれるより辛い。


 だがアリエッタには何にも代え難いものがある。──レオの幸せだ。


 レオに心惹かれた日から変わらぬ、彼の幸福を願う想い。本心ではレオと離れたくなどない。


 困難を乗り越え、ようやく心が結ばれたのだ。離れたいはずなどあるものか。


 けれどレオの幸せと国の平穏を考え抜いて出した答えなのに、呆れるとも見下げたとものような言い方をされ、ますます泣きそうになった。




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