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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方

「アリエッタは以前も俺を人に譲ろうとしたな。キミにとって俺はその程度の存在か? 俺の気持ちを確かめてもくれないのか」
レオの声色は単調でありながらも淋しさを滲ませているようで。アリエッタはハッとなりレオを涙の浮かぶ瞳で見るものの、既に彼は立ち上がって顔を背けていて表情は窺えず。
「……暫く距離を置いたほうがよさそうだ。俺は王城に泊まる。キミもよく考えろ」
ドレスの上。握り締めた拳に一粒の雫が零れ落ちた。
「それで? あなたはどうするつもりなの」
王城の一室。母から呼び出され、出し抜けに問われたレオは、先日のアリエッタとの出来事を思い浮かべつつ対面に座る母を見る。
「アリエッタも例のことに気付いてしまったようですので、早めに対処しますよ」
「そう。遅かれ早かれサイラスの継承権については気付くだろうとは思ってはいたけどね」
「気付いたのか、吹き込まれたのか……」
「え?」
「いえ。ともかく母上たちはこれまで通り傍観を続けてください。この件に関しては私が近いうちに決着させますので」
「それはいいけど……。アリエッタは大丈夫なの? このところ城にも顔を出さないでしょ。あまり哀しませないであげなさいよ」
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