この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方

アリエッタと顔を合わせなくなり数日。彼女のことはジョシュアを通しナキラから報告は受けていたが、相当の落ち込みようだとか。
王城の窓から自邸の方角を眺めては彼女の不安げな顔を思い浮かべ。だがレオは彼女が長年抱える呪縛を乗り越え、そして二人の間にある愛を信じアリエッタに逢いには行かなかった。
そのレオの元にジョシュアが書類を抱えやって来て。それを待ち構えていたレオは性急に書類へと眼を通す。
「やはりそうか……」
呟くとジョシュアは書類に書かれていない情報を補足する。
「名は挙がりませんでしたが、同時期に他に数人いた模様です」
「そうか。なかなかやるじゃないか、彼女も」
ククッと肩を揺らし、レオはジョシュアに馬車の用意を命ずる。
「アリエッタ様が逢いにいらっしゃるのを待たれないのですか?」
「それとこれとは別問題だからな。これ以上彼女の暴挙を赦すわけにはいかない。ただ……暫くはアリエッタには情報が漏れないよう、細心の注意を払ってくれ」
「……畏まりました」
ジョシュアは物言いたげであったものの、主人の言葉に従い恭しく一礼し、馬車を王城の正面入口前にと準備しに行った。
「さて、こんな馬鹿げたことをしでかした彼女にお仕置きをしに行くとするか」
レオの双眸は愉快そうでいて、アリエッタには決して見せない冷たい色を放っていた。
.

