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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方



 チャールトン伯爵邸に赴いたレオを、伯爵とジゼル、そして彼女のスカートの後ろに隠れるようサイラスが揃って出迎えた。


 レオの訪問を一際喜んだのは伯爵だ。やっと娘の願いを叶え、そしてサイラスにひとときとは言え父親と過ごす時間を設ける気になったのだと、これまで待たせた時間を咎めもせずレオを迎え入れた。


 伯爵は使用人に“家族”水入らずでゆったりと過ごせるよう部屋を用意するように言い付けるが、レオはやんわりと断る。


「伯爵。申し訳ありませんがサイラスと過ごす前にジゼル嬢と二人きりで話したいのですが」


「そう……ですか。殿下がそう仰るのでしたら……」


 多少気を悪くした様子を見せたものの、伯爵はサイラスを引き連れ名残惜しそうにその場をあとにし。レオはジゼルと二人、邸の2階にある彼女の部屋へと入る。


「殿下が私と二人になりたいとおっしゃてくださるなんて、光栄ですわ」


 お茶が運ばれ、テーブルを挟んで向き合うと、ジゼルはにこやかに笑う。


「私の用件はおわかりのはずなのに、笑顔を崩さないとは大したものですね」


 皮肉を籠めた賞賛を送っても、ジゼルは眉ひとつ動かさない。


「いつかこうなるとわかっておりましたもの。ですが殿下は私を助けてくださいますわよね?」


 小首を傾げるジゼルは、自らの容貌によほど自信がある者特有の仕草で。どうすれば男心をくすぐるか知り尽くしているようだ。


 しかしレオは嘲笑で一蹴した。




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