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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方



 ジゼルの話に合わせ、このままサイラスをレオの子と思わせておくつもりはないと暗に伝えても、やはり彼女は表情を崩さない。


 それどころか優雅に紅茶を飲み下し、微笑みを湛え上目遣いでレオを見詰める。


「殿下。今さら、ですわ。もう王さまや王妃さま、アリエッタ様にはサイラスが殿下の子であると擦り込まれてますもの。お父さまに関してはすっかり信じてますのよ? 今さら殿下が否定されても誰が信じるというのでしょう」


「それはどうでしょうね?」


 余裕たっぷりなジゼルにレオも余裕を返す。


「誰が父親か露見しないと自信がおありのようですね。まあ、随分と根回しをなさっていたようですし、当然と言えば当然でしょうか」


「さあ、なんのことだか」


「これを見てもその笑顔、保っていられますか?」


 レオは懐から折られた紙を取り出すと、テーブルの上を滑らすようにジゼルに渡す。


 訝しみながら紙を広げ目を通すジゼルの顔色が変わるのは、そう時間がかからなかった。


「これを……どこで?」


 蒼白になり、僅かに声を震わすジゼル。レオはその顔が見たかったとばかりに眼を細めた。






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