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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方

「王妃に必要な資質は人を思いやれる心です。自分の利益より、欲望よりもなによりも民を幸福を考え、迷いなく動けるその心。あなたにそれがあるとは思えません」
ジゼルは控え目な態度とは裏腹に、欲に忠実で自身のことしか考えていないというのが、出逢った当初から抱いていた印象。それは間違っていなかったのだ。
「……ジゼル嬢。サイラスの父親“候補”に関して他言するつもりはありませんでした。あなたが伯爵に自らの口で説明し、それでこの件の収束をと考えていましたが……最愛の者を侮辱され、考えが変わりました」
「どうなさる……おつもり?」
レオが放つ冷え冷えとした雰囲気に、さすがに強気な態度を保っていられなくなったジゼルは怯え始める。
「さあ? 聞きたいですか?」
ジゼルは否定とも、単なる震えともとれるよう小刻みに顔を横に振る。だがレオはまるで遊びの計画のよう、愉快そうに話す。
「そのリストにある男たちを一同に集め、社交界であなたとの関係を暴露させる、というのは面白そうですね。大騒ぎになるところ、見てみたくありませんか?」
「や、やめてください! お願いですから殿下……」
「騒ぎを起こしたのはそちらが先ですよ。そんな頼み、聞けると思いますか」
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