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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方

伯爵邸の庭を横切る際、伯爵に抱かれサイラスが散歩をしているのが遠目に見えた。切なく細められたアリエッタの瞳。だが瞼を伏せ、開かれたときには前をしっかりと見据えられていた。
馬車から降り立ったアリエッタはこれから立ち向かうべきことで頭がいっぱいで気付かない。邸の隅にもう一台の馬車が停まっていることも、二階から見下ろす長躯の男の影も。
対応した執事にジゼルへ取りついでもらえるよう頼むと、来客中だと一度は断られたが、どれだけ待たされてもいいからと再度面会を頼み。ジゼルに確認に行った彼が戻ってくると、すぐに会える運びになった。
どことなく彼の挙動は不審であったが、やはりアリエッタはそれどころではなく。邸の中を進む一歩、一歩が重たい。
ジゼルの部屋に通されると、彼女はアリエッタの顔を見てひどく驚いた様子を見せた。顔色も悪く、眼は血走り、そして怯えてもいる。
「アリ、エッタ様……。なぜここに……?」
ついさっきまでレオがここにいて彼女を脅しつけていたとは知らないアリエッタは、もしやレオと逢瀬を重ねていたのではと嫌な予感が胸を過るが、このまま逃げ出せばいつまでたっても何も変わらない、と己を奮い立たせる。
「突然の訪問、お許しください。今日は折り入ってお話があり、まいりました」
「は……話……」
ジゼルは瞳を泳がせ、アリエッタの声が耳に入っているかも疑わしい状態だが、アリエッタは空気を吸い込み一気に話した。
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